知識は、盗まれる。感覚は、盗まれない。
身体の動作を理解する前に、共通の基準を持つことにししょう。
わたしたちは、日常生活で無意識に『立つ』『歩く』といった動作を行っています。
しかし、その動きを支えているものは何か、考えたことはありますか?
ここでは身体を理解するための前提条件として、四つの基本原則を考えました。
この四つはそれぞれ独立したものではありません。
互いに影響し合いながらわれわれの姿勢や動作を支えています。
重力
わたしたちは、常に重力の影響を受けています。
立つこと、歩くこと、消化器官のシステムにおいても、重力の影響下で行われています。
重力は抵抗ではなく、動作を理解するための重要な基準であることを理解しておきましょう。
水平
わたしたちは、重力だけでは方向を知ることができません。
どこが水平で、どの方向へ傾いているのか。
この基準があるからこそ、身体は姿勢を保ち、動く方向を決めることができます。
空間
わたしたちは、単独で存在しているわけではありません。
身体の周囲にも、内部にも空間が存在します。
わたしたちはその空間を認識しながら、自分の位置や動く方向を決めています。
手足の動きも身体だけで感じるのではなく、身体空間として捉えることが重要になります。
反射
わたしたちは、一つひとつの動きを考えて行っているわけではありません。
姿勢を保つことも、バランスを修正することも、その多くは反射によって無意識に行われています。
反射は動きの土台であり、意識的な運動を支える基盤でもあります。
この四つの基本原則は、個別に存在するものではありません。
重力を感じ、水平を認識し、空間を把握し、反射によって身体を制御する。
これらが一つになったとき、人は自然で効率的な動作を生み出します。
ここから先は、この四つの基本原則を“前庭の条件”として紐解いていきましょう。