第2歩 水平は基準

第2歩 水平は基準

 

わたしたちは日常生活の中で、「水平」を意識することはほとんどないと言っていいでしょう。
しかし、水平は姿勢・動作・空間認識の土台となる重要な基準です。

例えば、海を眺めたときの水平線は、多くの人が自然に「まっすぐだ」と感じます。
また、建物の床や机・棚・家具・家電なども、水平を基準として設計されています。
わたしたちは、目から入る数え切れないほどの水平情報に囲まれて生活しています。

ここで一つ、知っておきたいことがあります。
それらはすべて、視覚による相対的な水平であることです。
部屋が傾いていても、その中に長時間いると水平に感じてしまうことがあります。
船の中や坂道でも、目から入る情報だけを頼りにすると、本来の水平とは異なる感覚を持つことがあります。
つまり視覚は、周囲の環境に影響されやすく、絶対的な基準にはなり難い。

では、本当の水平は何が判断しているのでしょうか。

わたしたちの身体は、常に重力の中にあります。
立っているときも、歩いているときも、走っているときも、身体には重力が働いています。
身体はこの重力の方向を基準として、「どちらが上で、どちらが下か」を感じています。
そして、その基準をもとに無意識のうちに水平を判断し、姿勢やバランスを保っています。

つまり、建物や家具などの視覚情報によって水平を感じているのではありません。
まず身体が重力を基準に水平を感じとり、その基準と目から入る情報を照らし合わせています。
身体には目に見えない「水平のものさし」が存在しています。

スポーツでは、この基準がさらに重要になります。

動きの中では、周囲の状況が常に大きく変化します。
走る・跳ぶ・回る・ぶつかる、そのたびに、目から入る情報も大きく変化しています。

視覚情報だけを頼りにしていては、正確な水平を保つことは難しくなります。

そのような状況でも安定した姿勢を維持できる選手は、身体の中にある水平基準を保ちながら動作しています。
だからこそ、素早く身体の向きを変えたり、跳んだり、着地したりでき、不安定な姿勢でもコンタクトプレーが可能になります。

水平とは、床や水平器が示す線だけではありません。
身体が重力の中で感じとっている基準であり、空間認識のベースとなるもの。
それが、ここでいう「水平」です

この違いを理解することが、身体の仕組みを理解する第一歩となるでしょう。