第4歩 反射は基準

第4歩 反射は基準

 

わたしたちは毎日、数え切れないほどの反射に支えられています。
しかし、その働きを意識することはほとんどありません。

「反射」と聞くと、多くの人は膝を軽く叩くと足が跳ね上がる膝蓋腱反射や、熱いものに触れた瞬間に手を引っ込める屈曲反射を思い浮かべるでしょう。
しかし、それらは反射のほんの一部にすぎません。

実はわたしたちは、立っているときも、歩いているときも、走っているときも、常に反射によって身体を支えてもらっています。
その代表が姿勢反射です。

姿勢反射は、身体のバランスを保つために絶えず働いています。
身体がわずかに傾いただけでも、筋肉は瞬時に反応し、姿勢を修正しています。
わたしたちは意識して姿勢を保っていると思いがちですが、その多くは無意識に行われています。

さらに、頭が動いても景色がぶれないのは、前庭動眼反射による働きです。
歩きながら周囲を見ても、走りながら相手を追っても、視線は安定しています。
もしこの反射が働かなければ、景色は大きく揺れ、日常生活さえ困難になります。

もう一つ、あまり知られていない反射があります。
それが前庭血圧反射です。
椅子から立ち上がるたびに、重力の影響で血液が下半身へ移動しようとします。
しかし、多くの人は何事もなかったように立ち上がることができます。
それは前庭が身体の姿勢変化を瞬時に検出し、自律神経を介して血圧を調節してくれているからです。
もしこの反射が十分でなければ、立ちくらみや、場合によっては失神が起こることもあります。

血圧を意識して調節しているわけではありません。
身体が、気づかれないようにコントロールしてくれています。

一方、熱いものに触れた瞬間、手が反射的に引っ込む屈曲反射も、身体を守る重要な防御反射です。
手は「熱い」と考えてから動くのではなく、身体が先に反応し、その後で脳が熱さや痛みを認識します。

こうして、反射はわたしたちを危険から守ってくれます。

これらに共通していることがあります。
それは、どの反射も意識しなくても働いてくれていることです。

反射は目立つ存在ではありません。
むしろ、目立たないことに価値がある。
わたしたちが普段どおり立ち、歩き、見て、生活できているのは、数多くの反射が絶えず身体を支えてくれているからです。

反射が働いていることを意識させられるのは、体調を崩したときや機能が低下したときです。
正常に働いているときほど、その存在を気づかされることはないでしょう。

反射とは、身体が長い進化の中で獲得した、生きるための基準です。

気づかないことが正常。