知識は、盗まれる。感覚は、盗まれない。
これまで本書では、
という四つの基準について見てきました。
これらは、それぞれ独立した知識ではありません。
四つの基準は互いに連携し、一つのシステムとして身体を最適化しています。
この最適化こそが、人の身体に本来備わっている能力を最大限に引き出す鍵となる。
ここでいう最適化とは、筋力を増やすことでも、技術を増やすことでもありません。
身体がもともと持っている機能を、最も自然に、最も効率よく働かせる状態へ導くことです。
その主役となるのが「反射」です。
しかし、反射は命令によって動くものではありません。
「速く反応しろ」と意識しても、反射は速くならない。
反射が最適に働くためには、正しい情報が必要になります。
その情報こそが、第1歩から第3歩までで見てきた
という三つの基準です。
わたしたちは重力の中で生活し、水平を感じ、空間との関係を認識しながら身体を動かしています。
この環境情報を繰り返し体験することで、身体は少しずつ学習をはじめます。
最初は脳が一つひとつの動きを考えながら処理しています。
立つ・歩く・走る・ボールを捕る・投げる・蹴るなど…。
あらゆる動作は経験として蓄積され、より効率のよい方法へとアップデートされていきます。
そして十分に学習が進むと、身体は毎回脳で考えなくても動けるようになる。
この過程が「脳から脊髄へのアップロード」です。
もちろん、実際にデータがコピーされるわけではありません。
しかし、この表現は現代社会において最適化された表現だと思います。
経験によって整理された動きは、脊髄レベルの反射として実行されるようになります。
ここで重要なのは、脳と脊髄では役割が異なるということです。
脳は経験し、学習し、最適な方法を見つけます。
一方、脊髄は学習された情報を瞬時に実行する。
競技や日常生活では、一瞬の遅れが動き全体に影響を及ぼします。
だからこそ、毎回脳で考えていては間に合いません。
重力・水平・空間という環境情報を、反射によって圧倒的な速度で手・足・身体へ伝達する仕組みが必要になります。
身体は筋肉で動いているように見える。
しかし、その筋肉を動かしているのは情報である。
正しい情報が入力されれば、身体は自然に最適な反応を選択する。
反対に、基準が曖昧になれば、反射も本来の能力を発揮できません。
つまり、わたしたちが行うべきことは、反射そのものを鍛えることではない。
重力を感じること。
水平を感じること。
空間を感じること。
この三つの基準を正しく体験することで、反射は自ら最適化されていきます。
この一連の流れが、ZERO BRAIN Systemです。
Input : 重力・水平・空間を体験する。
Learning : 脳が経験を蓄積し、最適な動きを学習する。
Upload : 学習された動きが脊髄レベルの反射へ受け渡される。
Execution : 反射が身体を瞬時に動かす。
Output : 最適化された動作が自然に発揮される。
これが、ZERO BRAINです。
ZERO BRAINとは、脳を使わないという意味ではありません。
学習を終えた動きが、脊髄の反射によって自然に実行される状態です。
これまで見てきた四つの基準は、この状態をつくるために存在しています。
そして、そのすべてが一つのシステムとして働いたとき、身体は最適化されます。
ここから先は、そのシステムを実際のフィールドでどのように活用するかを見ていきましょう。
これであなたも OPTIMAL MOVERS。
ようこそ、3人目。