第5歩 基準による最適化

第5歩 基準による最適化

 

これまで本書では、

という四つの基準について見てきました。

これらは、それぞれ独立した知識ではありません。
四つの基準は互いに連携し、一つのシステムとして身体を最適化しています。
この最適化こそが、人の身体に本来備わっている能力を最大限に引き出す鍵となる。

ここでいう最適化とは、筋力を増やすことでも、技術を増やすことでもありません。
身体がもともと持っている機能を、最も自然に、最も効率よく働かせる状態へ導くことです。

その主役となるのが「反射」です。

しかし、反射は命令によって動くものではありません。
「速く反応しろ」と意識しても、反射は速くならない。
反射が最適に働くためには、正しい情報が必要になります。
その情報こそが、第1歩から第3歩までで見てきた

という三つの基準です。

わたしたちは重力の中で生活し、水平を感じ、空間との関係を認識しながら身体を動かしています。
この環境情報を繰り返し体験することで、身体は少しずつ学習をはじめます。

最初は脳が一つひとつの動きを考えながら処理しています。
立つ・歩く・走る・ボールを捕る・投げる・蹴るなど…。
あらゆる動作は経験として蓄積され、より効率のよい方法へとアップデートされていきます。

そして十分に学習が進むと、身体は毎回脳で考えなくても動けるようになる。
この過程が「脳から脊髄へのアップロード」です。

もちろん、実際にデータがコピーされるわけではありません。
しかし、この表現は現代社会において最適化された表現だと思います。

経験によって整理された動きは、脊髄レベルの反射として実行されるようになります。

ここで重要なのは、脳と脊髄では役割が異なるということです。
脳は経験し、学習し、最適な方法を見つけます。

一方、脊髄は学習された情報を瞬時に実行する。

競技や日常生活では、一瞬の遅れが動き全体に影響を及ぼします。
だからこそ、毎回脳で考えていては間に合いません。
重力・水平・空間という環境情報を、反射によって圧倒的な速度で手・足・身体へ伝達する仕組みが必要になります。

身体は筋肉で動いているように見える。
しかし、その筋肉を動かしているのは情報である。
正しい情報が入力されれば、身体は自然に最適な反応を選択する。
反対に、基準が曖昧になれば、反射も本来の能力を発揮できません。

つまり、わたしたちが行うべきことは、反射そのものを鍛えることではない。

重力を感じること。

水平を感じること。

空間を感じること。

この三つの基準を正しく体験することで、反射は自ら最適化されていきます。

この一連の流れが、ZERO BRAIN Systemです。
Input : 重力・水平・空間を体験する。

Learning : 脳が経験を蓄積し、最適な動きを学習する。

Upload : 学習された動きが脊髄レベルの反射へ受け渡される。

Execution : 反射が身体を瞬時に動かす。

Output : 最適化された動作が自然に発揮される。

これが、ZERO BRAINです。

ZERO BRAINとは、脳を使わないという意味ではありません。
学習を終えた動きが、脊髄の反射によって自然に実行される状態です。
これまで見てきた四つの基準は、この状態をつくるために存在しています。

そして、そのすべてが一つのシステムとして働いたとき、身体は最適化されます。
ここから先は、そのシステムを実際のフィールドでどのように活用するかを見ていきましょう。

これであなたも OPTIMAL MOVERS。
ようこそ、3人目。